イタリア・トリノに拠点を置く科学技術センターEnvironment Parkは、「クリーン」テクノロジーのコンサルティングと開発における国内・外の結び目のような役割を果たしています。私たちは企業、研究センター、公的機関、公益財団の活動分野で主に技術革新と環境保護において成果を上げるお手伝いをしています。Environment Parkのプラズマ・ナノ・テック研究部門とプラズマトリート社の密接な協力関係は2012年にスタートしました。わずか2年のうちに両社は競技スキー板の吸着処理における革命的開発と特許を達成しました: PlasmaSkiです。
競技用の高性能スキー板の滑走面は、焼結した超高分子量ポリエチレンUHMWPEで加工されています。この材料は立体的なハニカム構造をもつ微小気孔からできています。焼結工程において微小気孔にほこりで穴を塞ぐため、ワックスの塗布量が減ってしまいます。
大気圧プラズマ処理の革新は、その課題でもあるミクロ構造気孔から残留物を取り除き、UHMWPEにワックスを最大限塗布できる表面に改質することにあります。
私たちの考えはプラズマトリート社のOpenair®プラズマとPlasmaPlus®テクノロジーを活用することで、物理的・化学的特性とそれによるスキー板のコーティングの改善を手に入れることです。プロジェクトの目的は、
開発とテストは2013年9月にスタートしました。数か月後の2014年5月には新しい処理方法の特許を申請するに至りました。
プラズマトリート社の技術の多様性は、私たちのプロジェクトの成功の秘訣の一つであることを証明しました。
この会社のノズルシステムのプラズマ活性中の遊離プロセスに対する確かな知識と柔軟性のあるPlasmaPlus®技術のおかげで、短期間のうちに私たち独自のプロセスパラメーターを見つけ、そして最適化することができました。結果は素晴らしいものでした。この処理法で実際にスキー板表面の焼結特性を改善することに成功しました。従来のスキー板プレチューンを応用し、ワックス吸着が4~6倍も向上したのです。
このプロセスは主に2つのステップを踏みます:
UHMWPE表面の最終的な構造に光学顕微鏡を使って分析すると、広がったクリーンな気孔が見られます。それに加えて、表面上にはポリエチレン構造に均一な被膜が密着しています。ワックスがけの後の滑りテストでは、滑り特性とスキー板コート表面の高い摩擦抵抗の顕著な改善が見られ、ワックスの吸着時間が大きく伸びました。
その次に実際の条件下で行ったスノーテストでは実験での数値を超えました。これにより、Openair®プラズマとPlasmaPlus®のコンビネーションのプラズマテクノロジーを正しくスキー板のプレチューンに使用することで、性能がアップすることが確認されました。プラズマスキー処理に対する特許は2015年3月に交付されました。
プラズマ・ナノ・テックとプラズマトリート社の協力関係はお互いの信頼により培われてきました。私たちの共通の課題分野は研究開発ソリューションを進めていくことにあり、それは、イタリア企業の工程・製造革新への要望に応え、新しいマーケット開拓のお手伝いをすることです。狙い通りの素晴らしい処理結果がでたことにより、私たちの協力関係はその後密接なパートナー関係に発展し、私たち共通のお客様に最適な処理プロセス開発に向けて成果を上げることができました。
私たちの様々な専門知識を結集させることで、既存の加工工程に新しいプラズマ処理工程を取り入れることが可能になりました。短期間でプロセス開発から生産向けテスト期間に移行できたのは、プラズマに内在する活性スペクトルと反応力学に対する私たちの正確な知識とプラズマトリート社の豊かな学術的・生産技術的経験があったからです。更に、プラズマトリート社のOpenair®とPlasmaPlus®技術を活用し、多岐にわたる要望と応用にしっかりと対応してきた長年に渡る経験があったからこそ可能となったのです。
担当部長
Dr. Domenico D'Angelo, PhD
プラズマ・ナノ・テック (Environment Park S.p.A.)
www.envipark.com