Steinhagen/Westfalen発. 連邦政府の教育研究省(BMBF)が発足させた「民生部門の安全に向けた研究」プログラムの一部となる、3年間を予定した助成プロジェクトMoPlasDekon(移動式プラズマ除染)は2019年8月に完了します。本プロジェクトのパートナーであるSteinhagen のPlasmatreat GmbHとFreisingのフラウンホーファー研究財団・プロセス技術・パッケージ研究所(IVV)は提携パートナーのバイエルン赤十字社(BRK)と協力して7月末に来賓客や報道陣へ、この研究プロジェクトで生物学的リスクの高い場合に投入する目的から開発された移動式のプラズマ消毒器をプレゼンテーションしました。
本プロジェクトの目標は汚染された表面の除染に従来から利用されてきた薬品溶剤を用いる手法へ、それより環境に優しく、容易に利用でき、かつ即効性のある殺菌手法を対抗させることにありました。救助隊員が汚染地域で利用を終えた防護服を脱ぐと、彼らは防護服に付着した病原菌による大きなリスクに晒されます。汚染された患者搬送車の車内もまた細菌、雑菌及びウィールスなどを除去する必要があります。これらの物体を対象とする除染は今日まで主として健康被害を招き、また環境への負荷も大きい薬品溶液の噴射や払拭で行われてきました。
これに対してMoPlasDekon技術では危険性の高い病原菌を乾式手法で極めて短時間に素材の表面上で健康や環境へのリスクもなく消滅させます。「Plasmatreat社で開発されたプラズマ消毒システムにはプラズマ発生に誘電体障壁放電(Dielectric Barrier Discharge, DBD)を利用する滅菌ノズルが内蔵されています」とPlasmatreat社の技術革新マネジメント部門リーダーでMoPlasDekon協同プロジェクトの調整役を務めるDr. Alexander Knospe氏は説明しています。この新開発ノズルによる細菌の減少率として、滅菌の要求を満たす100万分の1のオーダーが到達できます。救助隊員のポリマー製防護服や患者搬送車の車内全体も反応性のあるプラズマガスを利用して同様の効果で消毒できます。 更には、プロジェクトに加担する第3のパートナーであるm-u-t GmbH, Wedel社で開発された専用ガスセンサー技術を利用すれば病原菌に対するプラズマ処理の効果を現地で正確に確認することもできます。
工業製品化された場合にMoPlasDekon装置の重量は一人で携帯できる25 kgに留まり、移動式の利用が可能で操作も簡単な見込みであり、装置に内蔵されるリチュームイオン蓄電池が常備の電源となります。将来的には本装置を利用して世界中のどこでも汚染された物体を、アグレッシブな薬品類の利用を避けて殺菌することが可能になるものと予想されます。
MoPlasDekonプロジェクトのパートナーは下記するプロジェクト提携パートナー4組織から専門的助言による支援を受けました。エッセン市消防団の生物学分析Task Force特殊部隊(ATF B)、テストの目的のみに患者搬送車をバイエルン州からウェストファーレン地区のシュタインハーゲンまで来訪させたバイエルン赤十字救助機構の救助・災害専門家グループ、並びにThorsten Schöppner INHAG Zelte und Zubehör社。第4の助言者はベルリンにある疾病モニタリング・予防・連邦中央機関Robert Koch-Institut (RKI)で同機関には自前の生物学的リスク場面へ対処するグループがあります。
試作品をベースに更なる開発を進めてシリーズ製品を完成させるのが次のステップです。産業製品化に関心のある投資家へ門戸は開かれていますが、そこに見えるのは有望な見通しです。即ち、ガスセンサー技術を利用してモニタリングされる最初の移動式ハイテク・プラズマ・システムは商用電源へ依存せずに世界中の災害地どこでも物体に付着した危険性の高い病原菌を環境に優しく、敏速、確実かつ全く薬品を使用することなく消滅できるのです。