信頼性と長寿命を実現する高度な表面処理
パワーエレクトロニクスの分野では、小型化と高性能化が進む中で、さまざまな技術的課題が発生しています。特に、1000Aを超える大電流を制御するパワーエレクトロニクスでは、信頼性と長寿命の確保が重要なテーマです。そのためには、使用されている多様な材料をシームレスに統合する高度な技術が求められます。しかし、金属表面の隙間や酸化といった欠陥は、コンポーネントの性能を低下させるだけでなく、全体的な信頼性にも悪影響を及ぼす可能性があります。
こうした課題を解決するため、プラズマトリートはOpenair-Plasma® (オープンエアープラズマ) 技術による洗浄と活性化、加えて、酸化膜の除去を効果的に処理を可能とする新たなソリューションを提供します。これらの技術により、酸化物のない清浄な表面が確保され、優れた接着性と安定した電気性能が実現できます。その結果、製品全体の信頼性が向上し、次世代の高性能エレクトロニクス製品の製造・開発に貢献します。
主な課題と影響:
はんだ接合部のボイド
- 熱および電気インピーダンス:ボイドは、はんだ接合部の熱伝導性と電気伝導性を低下させ、ホットスポットや抵抗の増加、過熱による故障を引き起こします。
- 機械的弱点:ボイドは接合部の強度を損ない、熱や機械的ストレス下でクラックや故障を誘発します。
金属表面の酸化
- 接着不良:酸化膜により材料間の接着が妨げられ、層間剥離や組み立て部品の機械的強度の低下を招きます。
- 一貫性のないはんだ付け:酸化膜がはんだ付け性に影響し、接合部の密着性を低下させます。
素材適合性
- 熱膨張の不一致:材料によって熱膨張係数は異なります。適切な表面処理と接着技術がないと、熱サイクルによって応力が発生し、剥離やクラックにつながる可能性があります。
- 化学的不適合:化学反応による性能低下や故障を防ぐため、材料を慎重に選択し、適切な処理をする必要があります。
フラックス残留物
- 汚染:フラックス残渣が電気ショートや腐食を引き起こし、信頼性の問題につながる可能性があります。
- 洗浄の課題:部品が小型化し、高密度になるにつれて、部品を損傷することなくフラックス残渣を除去することは、ますます困難になっています。
小型化
- 精度の要件: 小さな部品や微細なピッチは、極めて精密な製造工程を必要とします。わずかな欠陥でも、重大な性能問題や故障につながる可能性があります。
- 放熱:部品のサイズが小さくなるにつれて放熱が難しくなり、高品質なはんだ接合と材料による効果的な熱管理が求められます。
長期信頼性
- 環境への暴露:パワーエレクトロニクスは、高温、湿度、振動などの過酷な環境にさらされるため、さまざまな材料と接合部のボイドや欠陥を削減するプロセスは長期的な信頼性を維持するために非常に重要です。
- 経年劣化:時間の経過とともに、材料は劣化し、接合部は弱くなります。ボイドや欠陥はこのプロセスを加速させ、早期の故障につながります。
プラズマトリートによるOpenair-Plasma®の貢献
改良された接着とボンディング
焼結プロセスを使用する際、高温にさらされる部品は剥離の問題が発生する可能性があります。プラズマトリートは、まずREDOX®ツールを用いて酸化層を効果的に除去し、洗浄・改質することで金型材料との強固な接着を確保する、統合的なソリューションを提供しています。このアプローチにより、信頼性の高い接合が実現します。
REDOX®ツールによる酸化物還元
REDOX®ツールは、トンネル構造に窒素と水素の混合ガス組み合わせた装置です。この手法により、後続工程に最適で清浄な表面が得られます。酸化層の除去することで、電気伝導性と信頼性が向上し、パワーモジュールやIGBTなどの高性能な電子部品において重要な役割を果たします。
連続的かつ効率的な処理
REDOX®ツールは、連続的なインライン処理をサポートしており、生産ライン上で基材が移動しながら効率的に処理されます。このプロセスにより、ダウンタイムが短縮され、製造全体のスループットが向上します。さらに、すべての部品について継続的なプロセス制御が保証されるため、一貫した品質と性能を実現します。
欠陥の削減と歩留まり率の向上
徹底した洗浄および酸化物除去プロセスにより、ボイドやその他の欠陥リスクが最小限に抑えられます。この結果、パワーエレクトロニクスの長期的な信頼性と性能が大幅に向上します。より清浄な表面と改善された接着によって、欠陥や手直しが減少し、歩留まり率の向上するとともに、製造時の廃棄物も削減されます。
環境およびコスト面でのメリット
プラズマトリート社のソリューションは、フラックスや洗浄剤への依存を最小限に抑えることで、製造工程が環境に与える影響を大幅に低減します。さらに、プロセス効率の改善や歩留まりの向上に加え、消耗品使用量の削減により、長期的に大幅なコスト削減を実現します。