PlasmaPlus®ナノコーティングによる表面改質

大気圧プラズマを用いたPlasmaPlus®プロセスでナノコーティングを使用することで、塗布領域に合わせてカスタマイズされた物質が材料表面のナノ構造まで蒸着されます。 プラズマコーティング 腐食防止コーティング や付着防止コーティングのような、効果の高い機能性コーティングが作られます。素材はまったく新しい特性を獲得します。表面を選択的に機能化した製品を製造することは、全く新しい次元の技術革新を意味します。

クリーニングが簡単:水や汚れをはじく機能性コーティング

プラズマコーティングを利用すれば、水をはじく効果のある疎水性の高い表面を生成することができます(ロータス効果)。それにより、防汚機能による自己洗浄特性を備えることも可能となり、機械的なクリーニング作業が不要となります。この分野における先駆的な用途としては、自動車コンポーネント(アルミニウム製車輪リムなど)や窓ガラス、ガラス板のコーティングがあげられます。

バリアコーティング ‐ 飲食品・医薬品の安全な保護

バリアコーティングは、二酸化炭素や酸素、水分の拡散を効果的に遮断します。この種のコーティングは、あらゆる種類のプラスチックに施すことが可能であり、包装業界で利用されています。バリアコーティングを施すことにより、 CO2 を透過しないバリアフィルムやペットボトルを製造することができます。食品/医薬品用包装材の場合には、バリアコーティングによりバリア層を形成し、活性成分や香料、内容物の品質や特性を保護します。

 

二酸化チタンと銀を基盤とする自己洗浄機能・殺菌性抗菌機能性コーティング 

PlasmaPlus®プロセスを利用すれば、光触媒活性を備えた二酸化チタンコーティングを蒸着させることができます。この種のコーティングは、日光や水分の効果により、自己洗浄機能や殺菌効果を発揮します。この技術を応用すれば、手作業によるクリーニングの実施間隔を延ばすことや、クリーニング作業を全てまとめて省略することが可能となることから、特に医療用品・衛生用品のコーティング処理法として注目を集めています。プラズマトリート社では、銀含有抗菌コーティングの蒸着をテーマとする研究も行っています。

2色射出成形加工用接着促進機能性コーティング

プラズマトリート社は、ハイブリッド射出成形加工におけるゴムと金属の接合やプラスチックと金属の接合の強化に関する研究・業務に集中的に取り組んでいます。それを実現するためには、活性化接着法を用いて金属表面にナノコーティングを施し、次にその表面上にプラスチックコンポーネントを成形します。将来的には、PlasmaPlus®プロセスを用いて接着促進性コーティングを蒸着させることにより、自動車製造における溶剤含有のプライマー代替技術として利用することが可能となります。

複雑な立体的コンポーネントのナノコーティング

Openair-Plasma®テクノロジーとPlasmaPlus®を組み合わせて使用すれば、大気圧プラズマを利用して複雑な立体的部品にコーティングを施すことができます。深溝形状や逃げ溝など、コーティング材料が付着しにくい部分にも、コーティング材料を塗布することが可能です。それにより、コンポーネントの上下に取り付けられたサーキットボード全面にコーティングを施すことができます。

射出成形加工における世界初の技術:Openair-Plasma®のみを利用した反結合性PUR

PURフォームは本来、射出成形加工ツールに付着しやすい性質を備えています。この付着を防ぐため、通常はモールドの内側に離型剤をスプレーする方法が採用されています。しかしこの方法では、成形部品に微量の離型剤が付着するおそれがあります。その他の方法としては、恒久的なコーティングをモールドに施す方法がありますが、この場合にはモールドを分解し、ツールを専門会社に送付して処理を受けた後、再設置しなければなりません。そのため多額の費用と時間を消費することになります。

大気圧プラズマ技術の市場大手企業のプラズマトリート社は、フォームシーリングシステム工学を専門とするCeraCon社と提携し、K2010プラスチック展示会において、新たに開発した付着防止ソリューションを発表しました。両社は、Openair-Plasma®大気圧テクノロジーを利用することにより、インモールドコーティング処理とインモールドコーティング再生処理を通じ、離型剤を使用することなく、ポリウレタンを加工することが可能であることを示しました。PlasmaPlus® コーティングプロセスでは、プラズマに有機ケイ素化合物を混合します。プラズマでは高いエネルギー励起が生じるため、化合物が微細化し、表面に蒸着してガラス状コーティングを生成します。

付着防止効果は、モールド表面のプラズマポリマーコーティングのみによって生じます。この環境に優しいプロセスを利用すれば、濡れ化学離型剤を使用する必要はなくなります。また古くなったコーティングを除去する必要がないため、モールドを取り外して再コーティングを施す必要もなくなります。それにより、世界で初めて、射出成形加工ツール内で直接再生処理を行うことが可能となりました。

Dr. E. Bürkle

Krauss-Maffei Kunststofftechnik 元ニューテクノロジー部長

Openair-Plasma®テクノロジーにより、従来は接着強度が弱く失敗していた素材の組み合わせが可能になります。

- Dr. E. Bürkle, Krauss-Maffei Kunststofftechnik 元ニューテクノロジー部長